犬小屋

舞台の感想

2.5から宝塚までいろいろ見た感想など

【舞台】劇団シャイニング『ポラリス』

9/15 昼夜 9/16 昼 AiiAシアター

 

推しが出ているもののメインではないし大阪もあるから、まあ一回くらい見ておくかと大阪公演のみ購入していました。初日があけて感想を検索してみると絶賛の嵐。そしてそれと同じくらい「ガラガラ」「空席目立つ」という意見が多く軽く混乱しました。私はうたプリにも劇団シャイニングにも詳しくないので、うたプリってだけで人気なんじゃないの?と思っていたのですが。でも確かに大阪公演まだめちゃめちゃ余裕で買えるなとは思っていた。まあ面白いなら早くみたいしチケット譲渡でアホみたいに安く手に入ったので連休使って行ってみた。

 

最初はロボとかSFとか舞台でやるとちゃちくなるよね~とかそもそもSFあんまり好きじゃないしとか全然期待してなかったんですが、終わったらポカンとするくらい面白かったです。謎の生命体の攻撃によって危機にさらされた人類が巨大ロボに乗って戦うそのパイロット養成機関にエリート三人組がいて、そこにたまたま一般人が入ってきて…というものすごくありがちな話ですが(これは元になったドラマCDがそういう話だから仕方ない)、それを通じて描かれていたのは何だかとても身近で普遍的で、健気でいじらしい人間ドラマだったように思います。キラキラしたアニメキャラ然としたトキヤセシルナツキがそれぞれ分かりやすく欠落やコンプレックスを抱えていて、彼らに対する舞台オリジナルのキャラたちも平凡な自分に対して思うところはあるけれど、それを平凡であるがゆえのまっすぐさで乗り越えていて、そんな彼らが三人を変えていくという構図もよかった。みんないいところがあるのに自分じゃそれに気づかないよね!ってこれフルバのおにぎりの話じゃん…。敵である彼も含めて全員に共感できたし、みんな愛おしかった。

 

前半の笑えるシーンや何気ないセリフが実は伏線で、後半同じ行動やセリフがまったく意味を変えて繰り返されていくのもとても気持ちがよく驚かされました。クライマックスのあのシーンから戦闘!ピンチ!必殺技!!そして…の流れもベタだけどそれが気にならないくらい気持ちよく盛り上がれて、それは私が彼らのことを大好きになっていて本当にがんばってほしいと素直に思えるからで、何だかずっと泣いてました。特に必殺技のあのセリフとあの演出はずるい…!アニメでよくあるシーンですが、あんなふうに表現できるのか!と驚かされたし、まあとにかく泣いた。

 

隣にいる人間同士の些細なすれ違いや行き違いという普遍的なテーマが小さなことから国や宇宙というすごく大きなものに自由自在に広がっていく話が私はとても好きで、そういう意味でも『ポラリス』がとてもはまったんだなと思います。

 

ロボ戦やエネミーもかっこよかったし、キャストもアンサンブルも身体能力がすごくてアクションもとても見ごたえがあった。そういうニチアサやヒーローショーみたいな単純なかっこよさと面白さと、シナリオの繊細さとエモさが両方味わえてとてもお得な舞台なんじゃないでしょうか。2.5としての感想は知らないので言いづらいけど、原作やキャラのファンの人たちからも概ね好評みたいですし。都合もあって三回しか見られてなかったけどできればもっと見たかった。2.5であることが逆に間口を狭くしていてもったいないなと感じるくらい良かったです。

 

以下キャストごとの感想

 

・トキヤ

最近やたらとお名前を見るのでめちゃくちゃ推されてるんだなーと思ってましたがそれも納得でした。一番変化があってドラマのある役だけどそれがよく伝わる繊細な演技で、特に最初と最後で声の柔らかさが全然違うのに驚いた。全体を思い返してあのシーンよかったなとかあのセリフ好きだなとか考えるとトキヤのシーンがすごく多くて、特に推しでもない人間にこれだけ印象残せるのってやっぱり実力あってこそだと思います。

 

・セシル

ザ・器用という印象。くるくる変わる表情と動きで見ているだけで楽しい。アクションの動きもすごかった。よっこいさんも実力派だなあと思います。出てくるとすごい安心感がある。頭ちっちゃくて体が細くてアニメみたいで2.5向きなスタイルだなあと思った。レビューのファンサがすごくてよっこいさんのファンはきっと楽しいだろうなあ。くしゃっとした笑顔が本当に可愛い。

 

・ナツキ

みんな言ってるけど足が長い。5mある。顔が小さくてメガネと髪型のせいもあってよく見えない。あまり舞台経験がない上にキャス変で今回初めましての方だったらしいのですが、あの見た目の説得力はすごい武器だと思うのでがんばってほしいです。経験が浅いゆえのふわふわ感が今回はナツキの優しいキャラと合っててよかったです。

 

・ヒロ

メインの三人がいかにも2.5なお芝居をしている中にいきなり芝居が重い人が出てきたぞ?!と戸惑いました。新人で後輩の役どころなのにあれはいいんですかほさかさん…。キャラとしてはめちゃめちゃヒロイン枠で発光してんのかっていうくらい光属性でほ、ほさかさん?!(二度目)2.5 的な大げささがあまりないのが安里さんのいいところでもあり物足りなく感じるところでもあると私は思っているのですが、キャラっぽさが薄い分余計にあの結末はきつかったです。要するにすごく泣いた。

 

・レグスター

もう安心安定のレグスター先輩という感じで出てくるのが待ち遠しいくらい面白かった。柏木君顔はかっこいいのにコメディセンスが抜群なんだなあ。おどけてるけど哀愁のある役どころがすごくよかった。あんなのみんなレグスターパイセン大好きになるやん…。あとアクションがさすがだなあと思いました。暴走したエヴァみたい。

 

・ラプール

ザ・器用その2。ましゅうくんもいろんなところで名前を見るなあと思っていたけどそれも納得の演技の上手さ巧みさ身体能力で、そりゃ現場の人は彼を使いたいって思うよなと思った。癖の強い役だけどとてもキュートで、でも底知れない不気味さもちゃんと感じられたし、ラストシーンには毎回泣かされました。

 

・エンゲルバー

どうしても葬儀屋さんのイメージが強かったんですが、すごく渋くてかっこよかった。声がかっこいいしパパノセが出てくると全体が引きしまるのでこういう役はほんと必要だなと思います。カテコやレビューでのはしゃぎっぷりが可愛かった…。

 

アンサンブルさんたちもすごく個性的でキャラが立ってて面白かったです!アーサーとスタンリーとか研究員とか三秒先輩とかみんな愛しい。アクション激しくてハラハラしますが大阪公演も皆さん怪我なく終えられますように。